ゆりの花GUIDE

医療保険で受ける訪問マッサージ ― 対象になる方と料金の目安

2026年5月29日

「寝たきりの家族に、自宅でマッサージを受けさせてあげたい。でも費用が心配」。在宅介護のご家族や、利用者さんを担当するケアマネジャーから、よくいただくご相談です。あん摩マッサージ指圧には、一定の条件を満たすと医療保険(療養費)が使える仕組みがあります。この記事では、どんな方が対象になるのか、自己負担はどのくらいか、利用を始めるまでの流れを、制度の根拠とあわせて整理します。

※本記事は制度の一般的な解説です。実際の支給可否・負担割合は、加入する保険者や個別の状況によって異なります。最終的なご判断は、かかりつけ医や保険者、お住まいの自治体にご確認ください。

医療保険が使える「訪問マッサージ」とは

ここで扱うのは、リラクゼーション目的のマッサージではありません。国家資格(あん摩マッサージ指圧師)を持つ施術者が、医療上の必要にもとづいて行う機能訓練的なマッサージです。健康保険法などにもとづく「療養費」という枠組みで、医療保険の対象になり得ます。

厚生労働省の同意書様式には、支給対象が次のように示されています。支給対象となる症状は、一律に診断名で決まるのではなく、筋まひ・筋萎縮・関節拘縮など、医療上マッサージを必要とする症例とされています。つまり「病名」よりも「マッサージによる機能改善が必要な状態かどうか」が判断の軸になります。

対象になる方の目安

具体的には、次のような状態の方が対象として想定されます。あくまで目安であり、最終判断は医師の同意によります。

  • 脳血管疾患の後遺症などで、手足にまひや拘縮(関節が固まって動かしにくい状態)がある
  • 寝たきり、またはそれに近く、自力での歩行や外出が難しい
  • 関節の動く範囲が狭くなり、放置すると拘縮が進むおそれがある
  • 筋力の低下・筋萎縮が進み、機能の維持・改善のための施術が必要

年齢や特定の病名で線引きされるわけではない点が、よく誤解される部分です。「要介護認定を受けているか」も直接の条件ではありません。判断の中心は、上記のような医療上の必要性です。

利用を始めるまでの流れ ― 医師の同意書が出発点

医療保険で訪問マッサージを受けるには、あらかじめ医師(保険医)から「同意書」の交付を受ける必要があります。これが最初の、そして最も大切なステップです。

  1. 施術者・事業所に相談する:現在の状態を伝え、保険対象になりそうか確認します。
  2. かかりつけ医に相談し、同意書を依頼する:医師がマッサージの必要性を認めれば、同意書を交付します。施術の種類・部位・往療(自宅への訪問)の可否などを医師が記入します。
  3. 施術開始:同意書にもとづき、自宅での施術が始まります。同意書には有効期限があり、期限内であれば繰り返し施術を受けられます。期限が来たら、改めて医師の同意(再同意)が必要です。

なお、医師が許可した範囲を超える施術は行えません。施術者が独断で部位や内容を広げることはできない仕組みになっています。

料金と自己負担の目安

料金は厚生労働省の通知で全国一律に定められています(令和6年=2024年の改定後の金額)。医療保険が適用されると、利用者の負担はこのうち1〜3割(加入保険・所得などにより異なる)です。主な項目は次のとおりです。

施術料(マッサージ)

体の部位(局所)ごとに計算します。1局所あたり450円で、最大5局所までです。たとえば3局所なら1,350円が施術料の基準額となります。これに、温罨法(温めるケア)を併せて行った場合は1回180円、電気光線器具を併用した場合は1回300円などの加算があります。

訪問にかかる料金

2024年10月の改定で、自宅などへ訪問して施術する場合の体系が整理されました。訪問して1人に施術する場合の「訪問施術料」は、1局所あたり2,750円から、局所数に応じて加算されていきます。従来の「往療料」は1回2,300円で、以前あった「4kmを超える場合の加算」は廃止され一本化されました。どの区分が適用されるかは、施術人数や状況によって決まります。

これらはいずれも保険適用前の基準額です。実際に窓口で支払う金額は、ここに自己負担割合(1〜3割)を掛けたものが目安になります。たとえば自己負担1割の方であれば、基準額の約1割が窓口負担の目安です。正確な負担額は、施術の内容・回数・加入保険によって変わるため、利用前に事業所へ見積もりを確認することをおすすめします。

介護保険との関係 ― 「枠」を圧迫しません

在宅介護のご家族にとって見落とされがちな利点があります。訪問マッサージは医療保険(療養費)の枠組みで行われるため、デイサービスや訪問介護などで使う介護保険の区分支給限度額(いわゆるケアプランの枠)を消費しません。すでに介護保険サービスを限度近くまで使っている方でも、別枠で機能訓練的なケアを追加できる、という考え方ができます。ケアプランを組むうえでも、この点は組み合わせの幅を広げます。

ケアマネジャー・ご家族へ ― 相談の最初の一歩

「自分(家族)は対象になるのか」を一人で判断するのは難しいものです。まずは、対象になりそうかの当たりを施術事業所に相談し、可能性があればかかりつけ医に同意書を相談する、という順序がスムーズです。ゆりの花グループでは、沖縄・静岡を中心に、国家資格者による訪問マッサージを提供しています。対象になるかどうかの初期相談から、医師の同意書取得のご案内、ケアマネジャーへの施術報告まで対応します。

具体的な対象判定やお見積りは個別のご相談が必要です。お住まいの地域・現在の状態をお知らせいただければ、ご案内します。


【出典・根拠】本記事の制度・料金は、厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」(令和6年5月31日 保発0531第1号ほか)および同省が示す同意書様式の記載にもとづいています。金額は2024年6月・10月改定後のものです。制度は改定されることがあるため、利用時点の最新情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、特定の効果・支給を保証するものではありません。