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在宅介護の限界サインと判断表。ショートステイの日数・費用と次の手

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在宅介護の限界のサインを3つの問いで判断する表にし、ショートステイの日数の決まり(連続30日・認定期間の半数)と自己負担の計算例、小規模多機能・施設との比較、静岡県・沖縄県の事業所数を公的資料でまとめました。

在宅介護の限界とは、法律上の定義がある言葉ではなく、介護する家族の睡眠・健康・仕事と、介護される本人の状態(転倒・夜間の対応・医療的な処置)、在宅サービスで補える余地の3つを見て、「いまの組み方では続かない」と判断される状態を指す(介護保険法にもとづく在宅サービスの整理は厚生労働省「介護保険制度の概要」2025年、出典11)。同居の主な介護者のうち介護時間が「ほとんど終日」の人は全体で 19.0%、要介護3で 31.9%、要介護4で 41.2%、要介護5で 63.1%にのぼる(厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査」、出典10)。

「夜に何度も起こされて眠れない」「仕事を辞めるしかないのか」「施設に入れるのは見捨てることではないか」。在宅介護の限界は、こうした言葉で家族の口から出てきます。限界を感じるのは本人や家族の努力が足りないからではなく、体力・時間・住まい・医療の必要度という条件が、いまの組み方を超えているからです。制度のうえでは、在宅サービスを増やす、ショートステイを定期的に組み込む、小規模多機能型居宅介護に切り替える、施設に申し込む、という段階があり、どれも「限界になってから」ではなく「限界が見える前」に動くほうが選択肢が広がります。

この記事では、在宅介護の限界のサインを3つの問いで判断する表、ショートステイの日数の決まり(連続30日・認定期間の半数・区分支給限度基準額)、自己負担の計算例2つ、ショートステイ・小規模多機能型居宅介護・施設入所の比較、相談から利用までの手順と現場でつまずきやすい点、特別養護老人ホームの特例入所(要介護1・2)、静岡県・沖縄県のショートステイの事業所数(厚生労働省の公表データ)をまとめました。金額はいずれも目安で、実際の額は事業所の重要事項説明書と見積もりで確認してください。病気ごとの経過や介護の見通しは人によって異なるため、この記事では扱わず、主治医・ケアマネジャーへの相談をおすすめします。

在宅介護の限界とは:制度に定義はなく、3つの条件の組み合わせで決まる

「在宅介護の限界」に法律上の定義や、要介護度での線引きはありません。介護保険は、要介護認定を受けた人が居宅サービス(訪問介護・訪問看護・通所介護・短期入所など)と施設サービスを選んで使う仕組みで、どこまで在宅で続けるかは本人と家族が決めます(厚生労働省「介護保険制度の概要」2025年、出典11)。ただ、現場で「限界」と言われる状態には共通点があります。介護する人の睡眠と健康が削られていること、本人の状態が在宅サービスの訪問時間の外(夜間・早朝)に手がかかる形に変わっていること、そして、使えるサービスの枠をほぼ使い切っていることの3つです。

数字で見ると、同居の主な介護者の介護時間が「ほとんど終日」の人は、要介護1で 11.8%、要介護2で 17.0%、要介護3で 31.9%、要介護4で 41.2%、要介護5で 63.1%です(厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査」、出典10)。要介護3から割合が大きく増え、要介護5では6割を超えます。排せつ・食事・体位の変換が日に何度も必要になり、訪問サービスの時間外を家族が埋めるようになるためです。また、同居の主な介護者と介護される人がともに60歳以上の組み合わせは 77.1%、75歳以上同士は 35.7%で(出典10)、介護する側の体力にも限りがあります。

この記事で扱う「限界」は、介護をやめる判断ではなく、「いまの組み方を変える判断」です。選択肢は、在宅サービスを増やす(区分変更を含む)、ショートステイを定期的に組み込む、小規模多機能型居宅介護に切り替える、住まいを変える(施設・住宅型有料老人ホーム・グループホーム)の4段階で、途中で戻ることもできます。

対象になる人:3つの問いで「在宅を続ける体制か、組み直しか」を見る

限界のサインを「介護する人」「介護される人」「体制」の3つの問いに分けました。チェックリストで数を数えるより、どの問いで「いいえ」になるかで次の一手が決まります。表の回数や日数は、制度の基準ではなく、この記事での目安です。

問い「はい」の場合「いいえ」の場合(限界のサイン)
1. 介護する人は、週に4日以上まとまって眠れ、自分の受診・仕事・用事を予定どおりこなせていますか(目安)問い2へ夜間に週3回以上起きる(目安)、自分の通院を後回しにしている、休職や離職を考え始めた、本人に強い言葉をぶつけてしまう、のいずれかがあれば「介護する人の限界」。ショートステイの定期利用(月に数日)か小規模多機能型居宅介護の泊まりを先に組み込む
2. 介護される本人の状態は、日中の訪問・通所サービスの時間内でおおむね対応できていますか問い3へ転倒の繰り返し、夜間の排せつ介助が毎晩、たんの吸引・床ずれの処置・点滴などの医療的な処置が日常化、夜間の徘徊や大声が続く、のいずれかがあれば「状態の変化」。区分変更の申請と、訪問看護・夜間対応型訪問介護・定期巡回の追加をケアマネジャーに相談する。医療的な処置が中心なら短期入所療養介護(老健・介護医療院のショートステイ)も候補
3. 介護する人が倒れたとき、代わりに介護できる家族か、すぐに泊まりを頼める事業所がありますか在宅を続ける体制がある。ショートステイを「休むため」に月1回は入れ、限度額の使い方を半年ごとに見直す代わりがいない場合は、緊急時に泊まれる先(ショートステイの登録、小規模多機能、市区町村の緊急ショートステイ事業)を先に確保し、並行して特別養護老人ホームなどの申し込みを済ませておく。要介護1・2でも特例入所の要件に当たることがある(京都市の指針Q&A 2015年、出典14)

問い1と問い2の両方で「いいえ」になり、問い3でも代わりがいない場合は、在宅で続けるかどうかより先に、「今月中に家族が休める日」を作ることが優先です。限界を超えてから施設を探すと、空きのある施設に選択の余地なく入る形になりやすいためです。施設の申し込みは、入所を決めることではなく、「選択肢を確保すること」として早めに済ませるのが現場の考え方です。

ショートステイとは:日数の決まり(連続30日・認定期間の半数・限度額)

ショートステイ(短期入所生活介護)は、特別養護老人ホームなどに短期間宿泊し、食事・入浴・排せつの介助と機能訓練を受ける介護保険のサービスです。受給者は約30万5千人です(2025年4月審査分。厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第258回 資料4、2026年、出典1)。事業所数は、このページ下部の表(介護サービス情報公表システムの公表データ)で確認できます。介護者の病気・冠婚葬祭・出張のほか、介護者の身体的・精神的な負担を軽くするため(レスパイト)に使うことは、厚生労働省の説明でも利用の目的として挙げられています(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」、出典3)。「休むために預けるのは無責任」ということはありません。

日数には次の決まりがあります。

決まり内容根拠・出典
連続利用は30日まで連続して30日を超えた日(31日目)以降の利用は介護保険の給付の対象にならず、全額自己負担になる。退所の予定日に本人の状態が悪い、介護者が急病で介護できないなどの事情で続けて利用する場合は、31日目を自費にして、その翌日から再び給付を受ける運用(いわゆるロングショートステイ)がある。市区町村に事前の申請を求めるところもある(例:下野市)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)の短期入所生活介護費の注(長浜市のマニュアル 2022年に原文の引用、出典7)、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(出典3)、下野市の案内(2022年、出典6)
認定有効期間のおおむね半数までケアマネジャーは、短期入所の利用日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにケアプランを作る決まり。本人の心身の状況などで特に必要と認められる場合は例外で、市区町村に理由書などの提出を求めるところがある(静岡県内では沼津市など)指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第21号(箕面市の案内 2023年、出典5)、江東区の案内(2024年、出典4)、沼津市の取り扱い(2021年、出典18)
区分支給限度基準額の範囲内1か月の上限は要介護1 16,765単位、要介護2 19,705単位、要介護3 27,048単位、要介護4 30,938単位、要介護5 36,217単位。超えた分は全額自己負担鹿児島市の案内(2024年、出典12)
長期利用の減算31日目を自費にして同じ事業所の利用を続ける場合、自費の日も含めて数えた連続利用日数が31日目から60日目の日は1日 30単位の長期利用者減算。61日目以降は介護老人福祉施設と同じ単位数になる(併設型は減算後の単位数がすでに施設以下のため、要介護3の多床室で 715単位のまま)。2027年度の介護報酬改定に向けて、「原則として連続利用は30日まで」との整合や、積雪期・農繁期などの季節利用の扱いが論点になっている厚生労働省 第258回 資料4(2026年、出典1)、第270回 資料4(2026年10月14日、出典2)

限度額との関係は、要介護度が低いほど厳しくなります。要介護1(上限 16,765単位)で併設型・多床室(603単位/日)を30日連続で使うと 18,090単位になり、送迎加算を含めなくても上限を超えます。要介護3(上限 27,048単位)なら 745単位×30日=22,350単位で枠内に収まりますが、同じ月に訪問介護やデイサービスを使う余地は小さくなります(出典1、出典12)。「30日まで使える」と「限度額の中で使える」は別の話なので、連続利用を考えるときは、ケアマネジャーに限度額の残りを確認してください。

ショートステイには、特別養護老人ホームなどで受ける短期入所生活介護と、介護老人保健施設・介護医療院・病院で受ける短期入所療養介護(医療的な管理やリハビリテーションが中心)があります。この記事の数字は短期入所生活介護のものです。ショートステイのサービスの全体は ショートステイのページ で説明しています。

費用の決まり方:単位数×地域の単価×負担割合+食費・居住費(計算例つき)

ショートステイの費用は、介護保険の対象になる部分(単位数×1単位あたりの単価×負担割合 1〜3割)と、介護保険の対象にならない食費・居住費(滞在費)・日常生活費(理美容代など)の実費に分かれます。1単位あたりの単価は事業所のある地域で決まり、ショートステイ(短期入所生活介護)では 10.00円〜11.10円です(厚生労働省 第258回 資料4 2026年、出典1。「介護保険制度の概要」2025年、出典11。地域区分 2024〜2026年度、出典13)。2024年(令和6年)改定の基本単位数(1日につき)は次のとおりです。

要介護度併設型・従来型個室/多床室併設型・ユニット型個室1割負担の目安(併設型・多床室、1単位10円)
要支援1451単位529単位451円
要支援2561単位656単位561円
要介護1603単位704単位603円
要介護2672単位772単位672円
要介護3745単位847単位745円
要介護4815単位918単位815円
要介護5884単位987単位884円

単独型(特別養護老人ホームに併設していない事業所)は少し高く、要介護3で 787単位(ユニット型 891単位)です。主な加算は、送迎加算 片道 184単位、緊急短期入所受入加算 1日 90単位(7日まで、やむを得ない事情があれば14日まで)、認知症行動・心理症状緊急対応加算 1日 200単位(7日間まで)、看取り連携体制加算 1日 64単位(2024年改定で新設)です(厚生労働省 第258回 資料4 2026年、出典1)。このほか、サービス提供体制強化加算や介護職員の処遇に関する加算が事業所ごとに付きます。

食費・居住費は実費。所得が低い人は「負担限度額」まで

食費と居住費は施設との契約で決まりますが、国が示す基準費用額(1日あたり)は、2026年8月から、食費 1,545円、多床室 915円、従来型個室 1,231円、ユニット型個室 2,066円です(厚生労働省 事務連絡「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」2026年、出典8)。世帯全員が市区町村民税非課税で預貯金などが一定額以下の人は、申請して「介護保険負担限度額認定証」を受けると、次の額までに軽減されます(特定入所者介護サービス費。2026年8月改定、出典8・出典9)。

利用者負担段階(主な要件)食費(ショートステイ、日額)居住費 多床室居住費 ユニット型個室
第1段階(生活保護受給者、世帯全員が非課税の老齢福祉年金受給者。預貯金等 単身 1,000万円以下)300円0円880円
第2段階(世帯全員が非課税で、年金収入等+合計所得が 82.65万円以下。預貯金等 単身 650万円以下)600円430円880円
第3段階①(同 82.65万円超〜120万円以下。預貯金等 単身 550万円以下)1,030円430円1,370円
第3段階②(同 120万円超。預貯金等 単身 500万円以下)1,360円530円1,470円

2026年8月の改定(令和8年厚生労働省告示第88号など)では、第3段階①・②の食費(ショートステイは日額 30円・60円)、第3段階②の居住費(多床室・ユニット型個室などで日額 100円)、食費の基準費用額(日額 100円)が引き上げられました。あわせて、第2段階と第3段階①の境目となる所得の基準が、老齢基礎年金の額の改定に合わせて 80.9万円から 82.65万円に変わっています(出典8・出典9)。食費・居住費は高額介護サービス費の対象になりません(広島市の案内 2026年、出典9)。

計算例A(要介護3、1割負担、1単位10円の地域、併設型・多床室、2泊3日=3日分、往復送迎つき)
基本 745単位×3日=2,235単位。送迎加算 184単位×2=368単位。合計 2,603単位で、総額 26,030円、1割負担の自己負担は 2,603円が目安です(出典1)。食費・居住費は、基準費用額どおりなら(1,545円+915円)×3日=7,380円で、合計 9,983円。負担限度額の第2段階に当たる人は(600円+430円)×3日=3,090円で、合計 5,693円が目安です(出典8・出典9)。このほか理美容代などの日常生活費がかかります。

計算例B(要介護4、1割負担、1単位10円の地域、併設型・多床室、月に10日(5日間の利用を2回)、往復送迎2回)
基本 815単位×10日=8,150単位。送迎加算 184単位×4=736単位。合計 8,886単位で、総額 88,860円、1割負担の自己負担は 8,886円が目安です(出典1)。要介護4の上限 30,938単位の約29%にあたり、残りの約22,000単位で訪問介護・デイサービス・福祉用具を組めます(出典12)。食費・居住費は基準費用額どおりなら(1,545円+915円)×10日=24,600円で合計 33,486円、第2段階なら(600円+430円)×10日=10,300円で合計 19,186円が目安です(出典8・出典9)。2割負担なら介護保険の自己負担の部分が2倍になります。

地域による違いもあります。2024〜2026年度の地域区分では、沖縄県の市町村は級地の表に記載がなく「その他」(ショートステイは1単位 10.00円)です。静岡県では、静岡市が6級地(10.33円)、浜松市・沼津市・三島市・富士宮市・島田市・富士市・磐田市・焼津市などが7級地(10.17円)、表に記載のない市町は「その他」(10.00円)です(厚生労働省 第262回 資料3「地域区分」2026年、出典13)。静岡市で計算例Aを使うと、介護保険の自己負担は約2,690円が目安です。2027年度からの級地は改定で変わることがあるため、市区町村の介護保険担当課か事業所で確認してください。1か月の介護保険の自己負担が上限を超えた分は高額介護サービス費として払い戻されます(出典11)。

ショートステイ・小規模多機能・施設入所:どれに進むかの判断表

限界が見えたときの選択肢を、同じ項目で並べます。「ショートステイの定期利用で足りるか」「泊まりを含めて一つの事業所に任せるか」「住まいを変えるか」の順で考えるのが現場の進め方です。

項目ショートステイの定期利用小規模多機能型居宅介護施設入所(特別養護老人ホームなど)
向いている状況ふだんは在宅で回っているが、介護者が定期的に休む日が要る。介護者の予定(出張・通院・冠婚葬祭)がある日によって介護の量が変わる。通い・訪問・泊まりを同じ職員に任せたい。認知症で環境の変化に弱い夜間も含めて毎日の介助が要る。介護者が倒れている、または代わりがいない
費用の構造日数×単位数(要介護3 745単位/日)+送迎加算+食費・居住費の実費(出典1)月額定額(要介護1 10,458単位、要介護3 22,359単位、要介護5 27,209単位。2024年改定)+食費・宿泊費の実費。他の訪問介護・通所介護は併用できない(厚生労働省 第257回 資料1 2026年、出典16)介護保険の自己負担+居住費・食費(負担限度額の対象)+日常生活費
日数・期間の決まり連続30日、認定期間の半数、限度額の範囲内(出典3、出典5、出典7)泊まりの定員は通いの定員の3分の1〜9人。登録定員29人以下(出典16)。限度額は月額定額の中で管理特別養護老人ホームは原則要介護3以上。要介護1・2は特例入所の4要件(認知症、知的障害・精神障害、虐待、家族の支援が期待できない)のいずれか(出典14)
本人への影響環境の変化を数日ごとに繰り返す。認知症の人は混乱することがあり、事前の見学と同じ事業所の継続が助けになる顔なじみの職員が通い・訪問・泊まりを担当するため変化が小さい生活の場が変わる。見学・体験入所・ショートステイで慣らす段階を置く
家族の役割日程の調整、送迎の立ち会い、持ち物の準備事業所との連絡が一本化。ケアマネジャーも事業所の所属になる面会、意思決定、費用の管理
静岡県・沖縄県の事業所数下の表(公表データから自動)小規模多機能型居宅介護の事業所数特別養護老人ホームの施設数

小規模多機能型居宅介護は、受給者が 112.2千人で、通い・訪問・泊まりを一つの事業所が月額定額で提供します(厚生労働省 第257回 資料1、2026年、出典16)。ショートステイの空きが取りにくい地域や、認知症で環境の変化に弱い人には、ショートステイを繰り返すより負担が小さい場合があります。一方で、それまでのケアマネジャーとデイサービスは使えなくなるため、切り替えは本人と家族の納得を得てから進めます。施設の種類ごとの違いは 介護付と住宅型の有料老人ホームの違い、グループホームの入居条件 にまとめています。

利用までの手順と、現場でよくあるつまずき

ショートステイの利用は、ケアマネジャーへの相談 → 事業所の選定と見学 → 利用申し込み(空き状況の確認)→ ケアプランへの位置づけ → 契約 → 利用開始、の順です。初回は健康状態の情報(かかりつけ医、服薬、感染症の有無)を事業所に伝える書類が要ります。

  1. ケアマネジャーに「限界が近い」と伝える:遠慮して「大丈夫です」と言い続けると、ケアプランは変わりません。夜間に起きる回数、自分の受診を延ばしていること、仕事への影響を具体的に伝えます。ケアマネジャーがいない場合は地域包括支援センターへ(出典11)。
  2. 区分変更を検討する:本人の状態が認定時より重くなっているなら、要介護認定の区分変更を申請します。区分が上がれば限度額が増え、ショートステイの日数の余地も広がります(出典12)。
  3. ショートステイの事業所を2〜3か所登録する(目安):空きが少ない地域では、早めに予約が埋まることがあります。定期利用の枠を確保しつつ、緊急時に受け入れてもらえる事業所を別に登録しておきます。緊急短期入所受入加算(出典1)は、ケアプランにない緊急の利用を事業所が受け入れたときの加算で、こうした受け入れの仕組みの一つです。
  4. 負担限度額認定を申請する:世帯全員が市区町村民税非課税なら、市区町村に「介護保険負担限度額認定」を申請します。認定証がないと食費・居住費は契約どおりの額になります(出典8・出典9)。
  5. 施設の申し込みを並行して済ませる:特別養護老人ホームの申し込みは、入所を決めることではありません。要介護3以上、または要介護1・2で特例入所の要件に当たる場合は、ケアマネジャーに「入所申込書」と必要に応じて「特例入所を必要とする理由書」の作成を依頼します(出典14)。

現場でよくあるつまずき2つ

1つ目は、「本人が嫌がるから」でショートステイを使わないまま限界を迎えることです。初めての宿泊を嫌がるのは自然な反応で、デイサービスで通い慣れた事業所の併設ショートステイから始める、まず1泊だけにする、持ち物に家の匂いのあるものを入れる、といった段階を踏むと受け入れやすくなります。本人の拒否が強い場合は、家族ではなくケアマネジャーや主治医から説明してもらうと通ることがあります。それでも難しいときは、泊まりを顔なじみの職員が担当する小規模多機能型居宅介護が選択肢になります。

2つ目は、介護者が倒れてから初めて施設を探すことです。介護者の入院などで在宅が続けられなくなったとき、市区町村には緊急ショートステイ事業(例:千葉市は介護者の急病などで介護を受けられない65歳以上の人を対象に30日以内、2018年施行の要綱、出典15)がありますが、実施の有無と条件は市区町村で異なります。静岡市・那覇市を含め、親の住所地の地域包括支援センターに「介護者が倒れたときに使える仕組み」を前もって聞いておき、同時に特別養護老人ホームなどの申し込みを済ませておくことが、現場で差が出やすい準備です。

仕事を辞める前に使う制度

介護休業は要介護状態の家族1人につき通算93日まで3回に分けて取れ、介護休暇は年5日(対象家族2人以上なら10日)を時間単位で取れます。2025年(令和7年)4月からは、勤続6か月未満でも介護休暇が取れるようになり、会社には介護に直面した従業員への制度の個別周知と意向確認が義務づけられました(都道府県労働局「育児・介護休業法 令和6年改正内容の解説」2025年施行、出典17)。介護休業の93日は、自分で介護をする期間ではなく、ショートステイや施設の申し込み、ケアプランの組み直しなど「体制を作る期間」として使うのが現場の考え方です。遠距離の場合の組み立ては 遠距離介護の始め方 で説明しています。

医療的な処置が増えてきたら:訪問看護と短期入所療養介護、看取りの選択

たんの吸引、床ずれの処置、点滴、在宅酸素などの医療的な処置が日常化してきた場合は、介護の量だけでなく医療の必要度が上がっています。訪問看護の回数を増やす、短期入所療養介護(介護老人保健施設・介護医療院のショートステイ)を使う、医師の指示で特別訪問看護指示書の期間に対応する、といった医療側の組み直しが先になります。訪問看護の費用の考え方は 訪問看護の費用と自己負担の計算例 にまとめています。

本人が人生の最終段階に入り、「家で最期まで」を望んでいる場合は、「限界だから施設へ」とは別の判断になります。在宅医と訪問看護の24時間の体制、家族の休息のためのショートステイ、亡くなるときの連絡先の共有を整えれば、在宅での看取りは選べます。ショートステイにも看取り連携体制加算(2024年改定で新設。死亡日と死亡日前30日以下について7日を限度に1日 64単位)がありますが、算定している事業所はまだ少数です(36事業所、算定率 0.3%。厚生労働省 第258回 資料4 2026年、出典1)。看取り期にショートステイを使いたい場合は、受け入れの方針を事業所に直接確認してください。準備の進め方は 在宅での看取りの準備 で説明しています。

静岡県・沖縄県でショートステイを探す(事業所数は公表データから)

ショートステイ(短期入所生活介護)の事業所数は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の公表データをもとに、ゆりの花GUIDE が集計しています。下の表は毎月の集計で自動的に更新されます(出典19)。

ショートステイ(短期入所生活介護)の事業所数(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)
地域事業所数基準
全国11,3132025年12月
静岡県3072025年12月
沖縄県772025年12月
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)を集計。

都道府県別の件数は、データページ(ショートステイの事業所数)で確認できます。事業所を探すときは、ゆりの花GUIDE の ショートステイのページ で都道府県と市区町村を選んでください。選ぶときの確認点は、緊急時の受け入れ体制(緊急短期入所受入加算の算定があるか)、認知症の人への対応(認知症行動・心理症状緊急対応加算、専門の職員)、医療的な処置への対応(看護職員の配置、短期入所療養介護との使い分け)、送迎の範囲、通い慣れたデイサービスや入所を考えている施設との併設の有無、の5点です。沖縄県や静岡県の中山間地域では送迎の範囲が限られる事業所があるため、候補はケアマネジャーに複数挙げてもらいます。

まとめ(判断の要点3つ)

  1. 在宅介護の限界に制度上の定義はない。介護する人の睡眠と健康、本人の状態の変化、代わりの体制の3つの問いで見て、「いいえ」が出た問いに合わせて次の一手(ショートステイの定期利用、区分変更と医療側の追加、緊急時の泊まり先と施設の申し込み)を打つ。要介護4以上では同居の主な介護者の4割以上が「ほとんど終日」介護している(2022年 国民生活基礎調査、出典10)。
  2. ショートステイは連続30日まで(31日目は全額自己負担)、認定期間のおおむね半数まで、限度額の範囲内で使う。要介護3・1割負担・多床室・1単位10円の地域で2泊3日の自己負担は介護保険分 2,603円+食費・居住費 7,380円(負担限度額の第2段階なら 3,090円)が目安(2024年改定の単位数、2026年8月改定の基準費用額・負担限度額。出典1、出典8、出典9)。
  3. 施設の申し込みは「決めること」ではなく「選択肢を確保すること」。特別養護老人ホームは要介護3以上が原則だが、要介護1・2でも特例入所の4要件に当たれば申し込める(出典14)。介護休業の93日は体制づくりに使う(出典17)。

次に読む記事:遠距離介護の始め方。訪問介護の使い方・費用と介護休業の整理、在宅での看取りの準備。訪問看護の費用と医療保険・介護保険の違い。

この記事は、制度の改定があれば更新します。次回の確認予定は 2027年4月(介護報酬改定の時期。短期入所の長期利用の扱いと地域区分は改定で変わる見込みのため、告示が出た時点でも更新します)です。

よくある質問

在宅介護の限界点とは何ですか。目安はありますか。

制度で決まった限界点はありません。この記事では、(1) 介護する人が夜間に週3回以上起きる状態が続き、自分の受診や睡眠を後回しにしている、(2) 本人に転倒の繰り返し、たんの吸引や床ずれの処置などの医療的な処置、夜間の徘徊や大声などが毎日ある、(3) 区分支給限度基準額(要介護3で 27,048単位、要介護4で 30,938単位、鹿児島市の案内 2024年、出典12)の大半を使っても家族の負担が減らない、の3つを「組み直しの時期」の目安としています(制度の基準ではありません)。本文の判断表で確認してください。国の調査では、同居の主な介護者の介護時間が「ほとんど終日」の人は要介護4で 41.2%、要介護5で 63.1%です(厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査」、出典10)。

在宅介護の限界は要介護4ですか。

要介護度で限界が決まるわけではありません。ただし、同居の主な介護者の介護時間が「ほとんど終日」になる割合は、要介護2で 17.0%、要介護3で 31.9%、要介護4で 41.2%、要介護5で 63.1%と、要介護3から大きく増え、要介護5で6割を超えます(厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査」、出典10)。要介護3以上で家族が一人で介護している場合は、ショートステイの定期利用や小規模多機能型居宅介護、施設の申し込みを同時に進める組み方が現場では多くなります。特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が対象です(京都市の指針Q&A 2015年、出典14)。

ショートステイは何日まで使えますか。

3つの決まりがあります。(1) 連続した利用は30日までで、連続30日を超えた日(31日目)以降は介護保険の給付の対象にならず全額自己負担です(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)の短期入所生活介護費の注。長浜市のマニュアル 2022年に原文の引用、出典7。厚生労働省「介護サービス情報公表システム」、出典3。下野市の案内 2022年、出典6)。(2) 利用日数は要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないことが目安です(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第21号。箕面市の案内 2023年、出典5)。(3) 要介護度ごとの区分支給限度基準額の範囲内で使います。要介護1(16,765単位)で併設型・多床室(603単位/日)を30日連続で使うと 18,090単位になり、送迎加算を含めなくても上限を超えます(厚生労働省 第258回 資料4 2026年、出典1。出典12)。31日目を自費にして同じ事業所の利用を続ける場合は、自費の日も含めて数えた連続利用日数が31日目から60日目の日は1日 30単位の長期利用者減算、61日目以降は施設入所と同じ単位数になります(出典1、出典2)。

ショートステイの費用はいくらですか。2泊3日の自己負担の目安を教えてください。

介護保険の自己負担(1〜3割)と、食費・居住費(滞在費)・日常生活費の実費に分かれます。2024年(令和6年)改定の併設型・多床室の基本単位数は、要介護1 603単位、要介護2 672単位、要介護3 745単位、要介護4 815単位、要介護5 884単位(1日につき)、送迎加算は片道 184単位です(厚生労働省 第258回 資料4 2026年、出典1)。要介護3・1割負担・1単位10円の地域(沖縄県など)で2泊3日(3日分)を往復送迎つきで使うと、介護保険の自己負担は 2,603円、食費・居住費は基準費用額(食費 1,545円、多床室 915円。2026年8月から、厚生労働省 2026年、出典8)で3日分 7,380円、合計 9,983円が目安です。市区町村民税非課税世帯で負担限度額の第2段階に当たる人は、食費 600円・居住費 430円(日額)になり、合計 5,693円が目安です(出典8・出典9。本文の計算例A)。実際の額は事業所の重要事項説明書と見積もりで確認してください。

認知症の親の在宅介護が限界です。どこに相談すればよいですか。

担当のケアマネジャーに「限界が近い」と率直に伝えるのが最初の一歩です。ケアマネジャーがいない場合は、親の住所地の地域包括支援センターに電話してください(厚生労働省「介護保険制度の概要」2025年、出典11)。認知症の行動・心理症状が急に強くなり、医師が緊急のショートステイが必要と判断した場合は、事業所が認知症行動・心理症状緊急対応加算(1日 200単位、7日間まで)を算定して受け入れる仕組みがあります(厚生労働省 第258回 資料4 2026年、出典1)。介護者の急病などで在宅での介護が続けられないときは、市区町村の緊急ショートステイ事業(例:千葉市は30日以内、2018年施行の要綱、出典15)を地域包括支援センター経由で使えることがあります。要介護1・2でも、認知症で日常生活に支障がある場合は特別養護老人ホームの特例入所の対象になりえます(出典14)。グループホームの入居条件は グループホームの入居条件 で説明しています。

この記事の監修・編集
ゆりの花GUIDE 編集部

ゆりの花グループ(静岡・沖縄)の介護・訪問マッサージの現場の知見をもとに、公的資料を確認して編集しています。

公開 2026年9月16日/更新 2026年10月21日

出典・参考

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本記事は公開時点の制度・公的資料にもとづいています。制度は改定されることがあるため、最新の内容は各自治体・厚生労働省の案内でご確認ください。個別の状況については、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。