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住宅型有料老人ホームの月額費用:内訳と介護保険の自己負担の計算例

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住宅型有料老人ホームの月額費用を、家賃・管理費・食費と介護保険の自己負担に分けて解説。厚生労働省の指針にある費目のルール、全国の価格帯、要介護2と4の計算例、高額介護サービス費、年金との照らし方を公的資料でまとめました。

住宅型有料老人ホームの費用とは、老人福祉法第29条にもとづいて届け出た有料老人ホームのうち介護を外部の介護保険サービスで受ける類型において、入居者が施設に払う家賃・管理費・食費などの月額費用と、別に契約した介護保険サービスの自己負担を合わせたものである(厚生労働省「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」、厚生労働省老健局「有料老人ホームの現状と課題について」2026年、出典2・出典3)。厚生労働省の 2026年の資料では、住宅型の月額費用(介護・医療の自己負担を除く家賃・共益費・基本サービス費・食費・光熱水費の合計)は 10〜12万円未満の価格帯が 26.9%で最多(10万円未満は 24.4%)、平均は 128,847円となっている(令和7年度老人保健健康増進等事業の調査、出典3)。

住宅型有料老人ホームの費用で分かりにくいのは、パンフレットの「月額」に介護の費用が入っていないことです。介護付有料老人ホームでは介護保険の介護サービス費が要介護度ごとの定額で月額に組み込まれますが、住宅型では介護は入居者が外部の事業所と契約して受けるため、その自己負担は施設の月額とは別に、使った分だけかかります(出典2・出典10)。「月額 12万円」と聞いて予算を組んだあとで、介護保険の自己負担が月に数千円から 5万円近く加わることに気づく、というのが相談の現場でよくあるつまずきです。

この記事では、住宅型有料老人ホームの費用を「入居時の費用」「毎月の固定費」「介護保険の自己負担」「その他の変動費」の 4 つに分け、厚生労働省の標準指導指針にある費目ごとのルール、全国の価格帯、要介護2 と要介護4 の計算例、負担を抑える制度、年金との照らし方、重要事項説明書の読み方を、公的資料をもとにまとめました。金額はすべて目安で、正確な額は施設の重要事項説明書と、ケアマネジャーの試算で確認してください。

住宅型有料老人ホームの費用とは:4 つの区分と全国の価格帯

住宅型有料老人ホームの費用は、次の 4 つに分けると見通しが立ちます。

区分内容誰に払うか介護保険
1. 入居時の費用前払金(入居一時金)、敷金。0円の施設もある施設対象外
2. 毎月の固定費(月額費用)家賃、管理費(共益費)、食費、光熱水費。施設が有料老人ホーム事業として受け取る費用施設対象外
3. 介護保険の自己負担訪問介護・通所介護・福祉用具貸与・訪問看護などを、入居者が外部(併設を含む)の事業所と契約して使った分の 1〜3割各事業所対象(上限あり)
4. その他の変動費医療費(訪問診療・薬)、おむつなどの日用品、理美容、個別に選ぶサービス(買い物代行・外出の付き添いなど)施設または各事業者医療は医療保険。それ以外は全額自己負担

厚生労働省の資料では、住宅型の「月額費用」を「介護・医療サービスの自己負担分を除く総額(家賃+共益費+基本サービス費+食費・光熱水費)」と定義し、令和7年度の調査では、回答 617 施設(N=617)のうち 10〜12万円未満の価格帯が 26.9%で最多で、平均は 10 年前の調査の 125,996円から 128,847円へ 3 千円弱上がったとしています(厚生労働省老健局「有料老人ホームの現状と課題について」2026年、出典3)。つまり上の区分の 2 だけで 10〜12万円が目安で、3 と 4 が別に加わります。

全国の有料老人ホームは 25,198棟・定員 951,236人(2024年6月30日時点、サービス付き高齢者向け住宅を除く)で、このうち住宅型が 12,668棟・定員 392,346人と、棟数で全体の半数(約50%)を占めます(厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第262回 資料2、2026年、出典10)。住宅型の 79.6% には、介護サービス事業所が併設または隣接しています(令和6年度老人保健健康増進等事業の集計、出典3)。この「併設事業所」が、あとで説明する介護保険の自己負担の計算(同一建物等減算)に関わります。

どんな人が住宅型を選んでいるか:費用の「読みやすさ」で見る 3 つの問い

住宅型有料老人ホームには、特別養護老人ホームの「原則要介護3以上」のような制度上の入居の線引きがありません。実際の入居者は、厚生労働省の 2026年の資料によると、入居時点で要介護3〜5 の人が 46.6%、入居者全体では要介護3以上が 56.0%(2015年は 48.9%)と、中重度の人の割合が増えています(令和7年度老人保健健康増進等事業の調査、出典3)。「軽い人向けの住まい」というかつてのイメージと、いまの実態は違います。

費用の面で住宅型が合うかどうかは、次の 3 つの問いで見当をつけられます。

問い「はい」の場合「いいえ」の場合
1. いま必要な介護は、毎日ではなく「朝だけ」「週に数回」のように限られていますか住宅型が合いやすい。使った分だけの自己負担なので、介護付の定額(要介護2 で 1日 609円、1割負担の目安。出典11)より低く収まることがある毎日朝夕の介助が要るなら、計算例 2 のように自己負担が月 2万円前後から 5万円近くになることがある。介護付の定額や、特別養護老人ホームの申し込みも並行して調べる
2. 介護が増えたときに、月額費用に自己負担を足した合計を、年金と貯蓄で払い続けられますか要介護度が上がった場合の試算(要介護度ごとの上限、出典6)を施設とケアマネジャーに出してもらい、上限に近づく時期の見通しを持っておく月額費用が低めの施設を選ぶ、前払金のない施設にする、高額介護サービス費(後述)を見込む、特別養護老人ホームの申し込みを先に済ませる、のいずれかを検討する
3. 事業所やケアマネジャーを自分で選び、サービスの量を調整したいですか住宅型が合う。併設事業所の利用は義務ではなく、特定の事業者の利用を入居の要件にすることは、2026年6月25日公布の改正法で、登録制の対象となる住宅型について禁止が定められた(施行は令和9年4月1日が原則で、改正事項により異なる。出典10)介護と生活が施設内で完結する介護付のほうが、費用も体制も分かりやすい

介護付と住宅型の仕組みの違い、サービス付き高齢者向け住宅や特別養護老人ホームとの違いは 介護付と住宅型の有料老人ホームの違い で表にしています。この記事は、住宅型に絞って「費用の決まり方」を掘り下げます。

月額費用の決まり方:家賃・管理費・食費・光熱水費と、指針のルール

毎月の固定費は施設が自由に決めますが、無制限ではありません。厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」が、費目ごとの考え方を示しています(出典2)。重要事項説明書の様式(同指針の別紙)には「家賃」「食費」「管理費」「介護費用」「光熱水費」「その他」の欄があり、施設はこの内訳を示すことになっています。

費目何の費用か標準指導指針のルール(出典2)確認するところ
家賃居室の賃料整備に要した費用、修繕費、管理事務費、地代に相当する額などを基礎として合理的に算定し、近傍同種の住宅の家賃から算定される額を大幅に上回らないこと居室の面積(例:13平方メートル台の個室か、18平方メートル以上か)と、周辺の賃貸住宅の家賃との釣り合い
敷金入居時に預ける金銭受け取る場合は 6 か月分を超えないこと。退去時に居室の原状回復費用を除き全額返還すること敷金の有無と月数。原状回復の範囲(国土交通省のガイドラインを参考にすることとされている)
管理費(共益費)共用部の維持管理、事務、生活相談・見守りなどの基本サービスの費用「入居者に対するサービスに必要な費用の額(食費、介護費用その他の運営費等)を基礎とする適切な額」とすること管理費に何が含まれるか(見守り、生活相談、健康管理、レクリエーション、光熱水費の一部など)。施設ごとに範囲が違う
食費朝・昼・夕の食事と間食同上。都度受領の場合は人件費・材料費などを勘案した適切な額1日あたりの単価と、30日か 31日か、欠食(入院・外泊)のときに引かれるか
光熱水費居室の電気・水道など内訳の欄に記載する項目管理費に含むか、実費精算か、定額か
介護費用(施設が受け取るもの)施設が有料老人ホーム事業として行う介助などの費用。訪問介護などの介護保険サービスの費用は、同じ法人が提供していても、この欄には含めない介護保険の利用者負担分を施設が前払金として受け取ることは「利用者負担分が不明確となるので不適当」月額の中に「介護費用」の名目があるなら、介護保険の自己負担とは別物かを確認する

支払い方式:月払いか、前払金か

住宅型有料老人ホームの支払い方式は、大きく「月払い方式」と「前払金(入居一時金)を併用する方式」に分かれます。前払金は、家賃やサービス費用の一部または全部を入居時にまとめて払う仕組みで、標準指導指針では、受け取る場合は老人福祉法第29条第9項にもとづいて算定根拠を書面で示し、銀行の債務保証などの保全措置を講じ、返還額を入居契約書に明示することになっています(出典2)。算定根拠の基本の式は「1か月分の家賃またはサービス費用×想定居住期間(月数)+想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受け取る額」で、この「備えて受け取る額」が、いわゆる初期償却にあたります(出典2)。重要事項説明書の「前払金の受領」の欄には、想定居住期間(償却年月数)、償却の開始日、初期償却率、返還金の算定方法が、「入居後 3 月以内の契約終了」と「入居後 3 月を超えた契約終了」に分けて書かれます(出典2)。入居後 90 日前後の短期の解約で前払金が返るかどうかは、2010年の消費者委員会の建議でも問題として指摘された点なので、この欄を必ず読んでください(出典12)。

月払い方式で敷金 0円の施設なら、入居時の費用は最初の月の月額費用だけで、退去のときの返還の計算も要りません。前払金のある施設は、長く住むほど月々の負担が軽くなる設計が多い一方、早く退去したときの返還額と保全措置の方法を契約前に確かめる必要があります。

介護保険の自己負担の決まり方:単位数×単価×負担割合(計算例 2 つ)

住宅型で月額費用に上乗せされる介護保険の自己負担は、「使ったサービスの単位数×1単位あたりの単価×負担割合」で決まります。負担割合は所得に応じて 1割・2割・3割で、2割は合計所得金額 160万円以上かつ年金収入とその他の合計所得金額が 280万円以上(単身。夫婦世帯は 346万円以上)、3割は合計所得金額 220万円以上かつ 340万円以上(単身。夫婦世帯は 463万円以上)が基準です(厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」2025年、出典9)。

2024年(令和6年)改定の訪問介護の基本単位数は、身体介護 20分未満 163単位、20分以上30分未満 244単位、30分以上1時間未満 387単位、1時間以上 567単位(30分増すごとに 82単位)、生活援助 20分以上45分未満 179単位、45分以上 220単位です(厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料1、2026年、出典4)。1単位の単価は地域区分(級地)で 10.00円〜11.40円の幅があり、訪問介護の単価は 1級地 11.40円、6級地 10.42円、その他の地域 10.00円です。静岡市は令和6〜8年度は 6級地(10.42円)、沖縄県内は「その他」(10.00円)です(厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第262回 資料3、2026年、出典5)。

住宅型で押さえておきたい仕組みが 2 つあります。1 つは同一建物等減算です。併設または隣接する訪問介護事業所から介護を受ける場合、基本単位数の 10%(同じ建物の利用者が 1か月に 50人以上なら 15%、事業所の利用者の 90%以上が同一敷地内の建物の居住者で正当な理由がない場合は 12%)が減算され、移動の時間がかからない分だけ自己負担も少なくなります(出典4)。どの区分に当たるかは、同じ建物に住む利用者の数などによって事業所ごとに決まるため、下の計算例 2 は 10%と 15%の 2 とおりで示します。もう 1 つは区分支給限度基準額です。1か月に介護保険で使える単位数には上限があり、要介護1 で 16,765単位、要介護2 で 19,705単位、要介護3 で 27,048単位、要介護4 で 30,938単位、要介護5 で 36,217単位で、超えた分は全額自己負担になります(鹿児島市の案内、2024年、出典6)。

計算例 1(全国の価格帯の例。要介護2、1割負担、1単位10円、外部の事業所を利用し減算なし、1か月30日)
月額費用は、全国で最多の価格帯(10〜12万円未満)に近い 120,000円とします。毎朝の身体介護 20分以上30分未満(起床・服薬の確認・着替え)を毎日:244単位×30回=7,320単位。生活援助 45分以上(掃除・洗濯・買い物)を週2回:220単位×8回=1,760単位。合計 9,080単位で、総額 90,800円、1割負担の自己負担は月 9,080円が目安です(出典4)。月額費用と合わせた合計は約 129,080円です。9,080単位は要介護2 の上限 19,705単位の約46%で、デイサービスや福祉用具貸与を足す余地があります。

計算例 2(静岡市葵区の住宅型の例。要介護4、2割負担、6級地 10.42円、併設事業所で 10〜15%減算、1か月30日)
月額費用は、静岡市葵区にある住宅型有料老人ホームの案内ページに示された内訳(家賃 55,000円+管理費 33,000円+食費 55,080円=143,080円、敷金 0円。この記事の最後に案内する施設。出典1)を使います。毎朝の身体介護 30分以上1時間未満(起床・排せつ・整容・服薬)を毎日:387単位×30回=11,610単位。毎夕の身体介護 20分以上30分未満(排せつ・就寝の準備)を毎日:244単位×30回=7,320単位。就寝前の身体介護 20分未満(排せつの確認)を毎日:163単位×30回=4,890単位。生活援助 45分以上を週3回:220単位×12回=2,640単位。合計 26,460単位。同一建物等減算が 10%なら 23,814単位、15%なら 22,491単位です。6級地の単価 10.42円をかけた総額は約 234,356〜248,142円で、2割負担の自己負担は約 46,871〜49,628円(1割負担なら約 23,436〜24,814円)です(出典4・出典5)。月額費用と合わせた合計は約 189,951〜192,708円です。減算前の 26,460単位は要介護4 の上限 30,938単位の約86%で、ほかのサービスを足せる余地は小さく、訪問看護やデイサービスを足すなら上限との関係をケアマネジャーに確認する必要があります。

計算例 2 の 2割負担では、介護保険の自己負担が 1か月 46,871〜49,628円となり、住民税課税世帯(課税所得約380万円未満)の高額介護サービス費の上限 44,400円を、どちらの減算でも超えています。超えた分(約 2,471〜5,228円)は、申請により高額介護サービス費として払い戻されるため、実質の自己負担は 44,400円、合計は約 187,480円になります(浜松市「負担が高額になったとき」2025年、出典7)。このように、2割・3割負担の人や要介護度の高い人ほど、高額介護サービス費の上限が実際の負担を決めます。

注意点が 3 つあります。(1) 計算例の単位数は基本単位数だけで、初回加算、処遇改善加算などの加算と、夜間・早朝(18〜22時、6〜8時)の 25%増し、深夜の 50%増しは含めていません。加算と時間帯の割増を含めた額は、ケアマネジャーが作るサービス利用票で確認できます。(2) 同一建物等減算を受けた場合に区分支給限度基準額をどの単位数で管理するかは、本文では述べていません。上限に近い利用になるときは、ケアマネジャーに確認してください。(3) 訪問看護を医療保険で使う場合や、訪問診療の自己負担は、介護保険の上限とは別の医療保険の仕組みで計算します。

介護保険と医療保険:住宅型で別にかかる医療の費用と、負担を抑える 3 つの制度

住宅型有料老人ホームでは、医療も介護と同じく、入居者が外部(協力医療機関を含む)と契約して受けます。訪問診療・訪問歯科診療は医療保険の自己負担(1〜3割)、訪問看護は主治医の指示書により介護保険または医療保険、訪問マッサージは医師の同意のもとで健康保険(療養費)を使って受けられます。これらは月額費用にも介護保険の上限にも入りません。訪問看護の費用の決まり方は 訪問看護の費用と自己負担の計算例 で説明しています。

負担を抑える制度は 3 つあります。いずれも申請が要り、施設が代わりに手続きするものではないため、家族が仕組みを知っておく必要があります。

制度何が戻るか上限の目安(出典7)住宅型での注意
高額介護サービス費1か月の介護保険の自己負担(世帯または個人の合計)が上限を超えた分住民税課税世帯:課税所得約690万円以上 140,100円、約380万円以上〜約690万円未満 93,000円、約380万円未満 44,400円。住民税非課税世帯 24,600円(合計所得金額と課税年金収入額の合計が 80万円以下の人は個人 15,000円)。生活保護の受給者 15,000円(浜松市、2025年3月更新)家賃・食費は対象外。区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった分も対象外。対象者には保険者(市区町村)から申請書が送られる運用が多い
高額医療・高額介護合算療養費毎年 8月から翌年 7月までの 1年間の、医療保険と介護保険の自己負担の合計が上限を超えた分年齢と所得区分で異なる(保険者の案内で確認。出典7 に表あり)訪問診療・薬・入院と介護保険の自己負担が重なる年に対象になりやすい。申請先は加入している医療保険によって異なるため、市区町村の窓口で確認する
特定入所者介護サービス費(補足給付)低所得の人の居住費・食費の軽減介護保険 3 施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)とショートステイが対象(出典9)有料老人ホームの家賃・食費は対象外。住宅型の月額費用はこの軽減がない前提で見積もる

医療費控除(所得税)は、住宅型の家賃・管理費・食費そのものは対象になりませんが、医療系サービスと併せて使う訪問介護の一部や、訪問診療・訪問看護の自己負担は対象になる場合があります。該当するかどうかは、国税庁の案内(医療費控除の対象となる介護保険サービス)と、事業所が発行する領収書の記載で確認してください。

費用を確かめる手順:重要事項説明書の読み方と、年金との照らし方

見学から契約までの間に、費用は次の順で確かめます。有料老人ホームは、入居相談があったときに重要事項説明書を交付し、契約の前に十分な時間の余裕をもって説明することになっています(老人福祉法第29条第7項、出典2)。

  1. 重要事項説明書の「利用料等」の欄:支払い方式(月払いか前払金か)、代表的な 2 つのプラン、入居時に必要な費用、月額費用の内訳(家賃・管理費・食費・光熱水費・その他)を読みます。「介護費用」の欄があれば、介護保険の自己負担とは別のものだと確認します(出典2)。
  2. 「前払金の受領」「前払金の保全先」の欄:前払金がある場合は、想定居住期間、初期償却率、入居後 3 月以内と 3 月を超えた場合の返還の計算、保全先(銀行の連帯保証・信託・保証保険・全国有料老人ホーム協会など)を読みます(出典2)。
  3. 別添 2「入居者の個別選択によるサービス一覧表」:買い物代行、通院の付き添い、理美容など、月額に含まれない個別のサービスの単価を読みます(出典2)。
  4. 介護保険の自己負担の試算:いまの要介護度と、1 段階上がった場合の 2 とおりで、ケアマネジャー(または施設)に単位数と自己負担の試算を出してもらいます。併設事業所を使う場合は同一建物等減算の区分(10%・12%・15%)を、ほかの事業所も使えるかも併せて聞きます(出典4)。
  5. 医療の自己負担と日用品:協力医療機関の訪問診療の頻度と自己負担、薬代、おむつ代、理美容代の目安を聞きます。
  6. 年金と貯蓄に照らす:1〜5 の合計を、年金の手取りと照らします。

年金の平均額と照らすと

厚生労働省年金局の令和6年度末の数字では、厚生年金保険(第1号)の老齢年金の受給権者の平均年金月額は 150,289円(基礎年金を含む。男性 169,967円、女性 111,413円)、国民年金の老齢年金は 59,310円です(「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」2025年、出典8)。計算例 1(約 129,080円)は厚生年金の平均の範囲に入りますが、女性の平均(111,413円)では足りません。計算例 2(約 187,480円。高額介護サービス費の払い戻し後)は、厚生年金の平均でも月に 3〜4万円ほど不足することがあり、貯蓄や家族の支援が要る場合があります。国民年金だけの人は、月額費用 10〜12万円の時点で年金を大きく上回ることが多いため、住宅型を選ぶなら貯蓄の取り崩しの年数を先に計算しておく、特別養護老人ホームやケアハウス(軽費老人ホーム)の申し込みを並行して進める、といった方法もあります。

現場でよくあるつまずき 2 つ

1 つ目は、「月額」だけで予算を組み、介護保険の自己負担を見ていないことです。住宅型では介護の費用が月額の外にあるため、要介護3 以上になると、使うサービスの量と負担割合によって、月に 2万円前後から 5万円近くの自己負担が加わることがあります。見学のときに「要介護度が 1 段階上がったらいくらになるか」を試算してもらうと、入居後の見通しを立てやすくなります。

2 つ目は、退院日に合わせて急いで決め、重要事項説明書を読む時間を取れないことです。入院中でも要介護認定の申請と施設の見学はでき、退院前に病院の相談員・ケアマネジャー・施設で費用を含めた退院後の段取りを組めます。入院中の申請と暫定ケアプランの進め方は 退院後の介護の始め方 にまとめています。

静岡県・沖縄県で住宅型有料老人ホームの費用を比べる(施設数は公的資料と公表データから)

静岡市が公表している「静岡市内の有料老人ホーム(一覧)」(2026年2月28日時点、サービス付き高齢者向け住宅を除く)には 86施設が載っており、類型は住宅型 56施設、介護付 30施設、健康型 0施設、区別では葵区 32施設、駿河区 28施設、清水区 26施設です(静岡市 高齢者福祉課、2026年3月9日更新、出典13。件数は一覧の行を数えた集計)。一覧に添付された「有料老人ホーム情報開示等一覧表」には、施設ごとの類型と月額の欄があるので、同じ区の住宅型を月額の内訳で並べて比べられます。「介護付」と表示できるのは特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームだけで、指定のないホームは「介護付き」「ケア付き」と表示できません(静岡県「有料老人ホームとは」2026年、出典14)。沖縄県も有料老人ホームの情報開示一覧を公表しており、類型を確認できます(出典15)。

費用を比べるときは、地域区分の単価の違いも見ておきます。静岡市は 6級地(訪問介護 1単位 10.42円)、沖縄県内は「その他」(10.00円)なので、同じ単位数の介護でも静岡市のほうが自己負担は約4%高くなります(出典5)。一方で家賃は近傍の住宅の家賃を基礎に算定されるため(出典2)、同じ県内でも市街地と郊外で差が出ます。

静岡県・沖縄県の有料老人ホームの事業所数は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の公表データをもとに、ゆりの花GUIDE が集計しています。下の表は最新の集計で自動的に更新されます(出典16)。

有料老人ホームの事業所数(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)
地域事業所数基準
全国4,4672025年12月
静岡県1102025年12月
沖縄県242025年12月
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)を集計。

都道府県別の件数は、データページ(有料老人ホームの事業所数)で確認できます。市区町村から探すときは、ゆりの花GUIDE の 有料老人ホームのページ で静岡県・沖縄県を選び、候補の施設を「月額費用の内訳」「前払金の有無」「併設事業所と減算の区分」「医療の体制」「退去の条件」の同じ項目で並べてください。

まとめ(判断の要点 3 つ)と、静岡市葵区羽鳥の例

  1. 住宅型有料老人ホームの費用は「入居時の費用」「毎月の固定費(家賃・管理費・食費・光熱水費)」「介護保険の自己負担」「その他の変動費」の 4 つ。全国の月額費用(固定費)は 10〜12万円未満の価格帯が最多で(出典3)、介護保険の自己負担はその外にある。
  2. 介護保険の自己負担は「単位数×単価×負担割合」。要介護2・1割の例で月 9,080円、要介護4・2割・併設事業所(10〜15%減算)の例で月約 46,871〜49,628円(高額介護サービス費の払い戻し後は 44,400円)(出典4・出典5・出典7)。要介護度が 1 段階上がった場合の試算を、契約前に出してもらう。
  3. 重要事項説明書で、月額の内訳、前払金の算定根拠・返還・保全措置、個別サービスの単価を読み(出典2)、合計を年金(厚生年金の平均 150,289円、国民年金 59,310円。出典8)と貯蓄に照らす。有料老人ホームには補足給付がないことを前提にする(出典9)。

この記事の計算例 2 に使った月額の内訳は、ゆりの花GUIDE を運営するゆりの花グループ(株式会社ゆりの花)が静岡市葵区羽鳥で運営する住宅型有料老人ホーム「はとり葵ガーデン」のものです。施設の基本情報、入居の相談ができる人、見学で確かめること、見学予約の方法は 静岡市葵区羽鳥の住宅型有料老人ホーム はとり葵ガーデンの月額費用 にまとめています。見学は随時受け付けており、費用の試算は個別に相談できます(問い合わせはフリーコール 0120-985-395、通話無料。受付時間は上の記事に記載)。

次に読む記事:介護付と住宅型の有料老人ホームの違い。費用とサ高住・特養との比較、静岡市葵区羽鳥の住宅型有料老人ホーム はとり葵ガーデンの月額費用。

この記事は、介護報酬や地域区分の改定、高額介護サービス費の上限額の見直し、年金の平均月額の公表があったときに更新します。次回の確認予定は 2027年4月(介護報酬改定と、中重度者向けの住宅型有料老人ホームの登録制の施行予定日)です。

よくある質問

住宅型有料老人ホームの月額費用はいくらですか。

施設に払う月額費用(家賃・管理費・食費・光熱水費。介護・医療の自己負担を除く)は、厚生労働省の 2026年の資料で 10〜12万円未満の価格帯が 26.9%で最多(10万円未満は 24.4%)、平均は 128,847円です(令和7年度老人保健健康増進等事業の調査、出典3)。これに介護保険サービスの自己負担が別に加わります。1単位10円・1割負担で、朝の身体介護を毎日と生活援助を週2回使う要介護2の例では月 9,080円(2024年改定の単位数、出典4)で、月額費用を 12万円とすると合計の目安は約 12.9万円です。金額は施設と地域、使うサービスの量で変わるため、重要事項説明書の利用料の欄で確認してください。

住宅型有料老人ホームの費用に介護保険は使えますか。

家賃・管理費・食費には使えません。介護保険が使えるのは、入居者が外部の訪問介護・通所介護などの事業所と契約して受ける介護サービスの部分だけで、自己負担は所得に応じて 1〜3割です(厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」2025年、出典9)。介護保険 3 施設とショートステイにある居住費・食費の軽減(補足給付)は、有料老人ホームにはありません(出典9)。

入居一時金(前払金)は必要ですか。戻ってきますか。

施設によります。月払いだけの施設もあれば、家賃などの一部または全部を前払金として受け取る施設もあります。厚生労働省の標準指導指針では、前払金を受け取る施設は算定根拠を書面で示し、保全措置を講じ、返還額を契約書に明示することになっています。敷金を受け取る場合は 6 か月分以内で、退去時に原状回復費用を除いて全額返還です(出典2)。入居後 3 か月以内に契約が終わった場合の返還の計算は、重要事項説明書の「前払金の受領」の欄に書く様式になっています(出典2)。

要介護度が上がると、費用はどのくらい増えますか。

住宅型では介護保険の自己負担が「使った分だけ」なので、要介護度と使うサービスの量に応じて増えます。1単位10円・1割負担で、要介護2の例(朝の身体介護毎日+生活援助週2回)が月 9,080円、要介護4の例(朝夕の身体介護毎日+就寝前の短時間の身体介護毎日+生活援助週3回、併設事業所で 10〜15%減算)が月 22,491〜23,814円です(2024年改定の単位数、出典4・出典5)。1か月の自己負担には要介護度ごとの上限(区分支給限度基準額。要介護2で 19,705単位、要介護4で 30,938単位、出典6)があり、超えた分は全額自己負担になります。1か月の自己負担(世帯の合計)が 44,400円(住民税課税世帯・課税所得約380万円未満)を超えた分は、高額介護サービス費として払い戻されます(浜松市、2025年、出典7)。

年金だけで住宅型有料老人ホームの費用は払えますか。

年金の額と施設の月額によります。厚生年金保険(第1号)の老齢年金の平均年金月額は 150,289円(基礎年金を含む)、国民年金の老齢年金は 59,310円です(令和6年度末、厚生労働省年金局、2025年、出典8)。月額費用 12万円に要介護2の例の自己負担 9,080円を足した約 12.9万円は厚生年金の平均の範囲ですが、要介護4の例(月額費用 143,080円+2割負担の自己負担)は約 18.7万〜19万円台になり、年金の平均を上回ることがあります。「月額費用+介護保険の自己負担+医療の自己負担+日用品」の合計を、見学のときに個別に試算してもらってください。

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ゆりの花GUIDE 編集部

ゆりの花グループ(静岡・沖縄)の介護・訪問マッサージの現場の知見をもとに、公的資料を確認して編集しています。

公開 2026年10月28日/更新 2026年10月28日/内容確認 2026年10月25日

出典・参考

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本記事は公開時点の制度・公的資料にもとづいています。制度は改定されることがあるため、最新の内容は各自治体・厚生労働省の案内でご確認ください。個別の状況については、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。