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退院後の介護の始め方。入院中の介護保険の申請と暫定ケアプラン

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退院が決まったあとの介護サービスの始め方を、入院中の要介護認定の申請、暫定ケアプラン、退院前カンファレンス、退院後3か月の組み立ての順に、公的資料にもとづいて解説します。

退院後の介護サービスとは、入院中に要介護認定の申請とケアマネジャーの選定を進め、退院の日から介護保険のサービスを使い始めるための準備のことです。介護保険のサービスは、入院している間は使えません。退院後に使う予定があるなら、入院中のうちに動き始めます(出典1、出典4)。

要介護認定は、申請から結果の通知まで原則30日以内かかります(出典5)。退院日に間に合わせるには、退院の見通しが立った時点で申請するのが目安です。ただし、本人の状態が不安定なうちは正しく認定できないため、状態が安定してからの申請が勧められています(出典4)。認定の運用や手続きの細部は自治体で異なるので、住んでいる市区町村の窓口、地域包括支援センター、ケアマネジャーに確認してください。

この記事では、入院中にやることの全体像、要介護認定の申請、暫定ケアプラン、ケアマネジャーと退院前カンファレンス、福祉用具と住宅改修、退院後3か月の組み立て方、3つの問いによる動き方の決め方、静岡県・沖縄県の事業所数(厚生労働省の公表データ)をまとめました。

退院後の介護は「入院中の準備」で決まる

入院している間は医療保険が適用され、介護保険のサービスは使えません(出典4)。そのため、退院の日に介護サービスを始められるかどうかは、入院中に何を済ませているかで決まります。やることは、次の5つです。

やることいつ相談先
要介護認定の申請退院の見通しが立ち、状態が安定したら市区町村の介護保険の窓口。病院の医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターにも相談できる
ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)を決める申請とあわせて地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー
暫定ケアプランをつくる認定結果が出る前に退院するときケアマネジャー(要支援の見込みなら地域包括支援センター)
退院前カンファレンスに参加する退院の日取りが決まったあと。日程は病院が決める病院の医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー
福祉用具・住宅改修を準備する退院前。退院後すぐに必要なものからケアマネジャー、市区町村の窓口

地域包括支援センターとケアマネジャーは、相談を受け、サービスの調整を行う役割を担っています(出典1)。どこに相談すればよいかわからないときは、地域包括支援センターか、病院の医療ソーシャルワーカーが最初の窓口になります。

要介護認定の申請:いつ、どこへ、どう進むか

認定が出るまでの流れ

  1. 申請:市区町村の窓口に、要介護・要支援認定の申請書を出します。
  2. 認定調査と主治医意見書:市区町村の調査員が心身の状況を調べ(認定調査)、市区町村が主治医に意見書の作成を依頼します(出典1、出典6)。入院中の場合の調査の場所と日程は、窓口と病院に確認します。
  3. 判定:認定調査と主治医意見書をもとにコンピュータで一次判定を行い、保健・医療・福祉の学識経験者でつくる介護認定審査会が二次判定を行います(出典1)。
  4. 通知:結果は、原則として申請から30日以内に通知されます。遅れるときは、理由と見込みの日を書いた延期の通知が届きます(出典5)。

有効期間と、さかのぼる扱い

認定の有効期間は、新規申請で原則6か月、審査会の判断で3か月から12か月の範囲で決まります(出典2)。新規申請と区分変更申請では、認定の効力は申請日にさかのぼります。更新申請では、前回の有効期間が終わった翌日からになります(出典2)。

入院中に申請するときの注意

  • 入院中でも申請はできます。退院後に介護サービスを使う予定があるなら、入院中に申請しておくと、導入がスムーズに進みます(出典4)。
  • 心身が不安定な状態では正しい認定ができないため、状態が安定してからの申請が勧められています(出典4)。医師が意見書を書くのが難しいほど状態が不安定なときは、病院や窓口に進め方を相談します。市の案内でも、入院中で状態が安定しない場合は意見書の作成が難しくなるとして、窓口への連絡を求めています(出典6)。
  • すでに要介護・要支援の認定を持っている方は、新しく申請する必要はありません。担当のケアマネジャーに入院を連絡し、退院後に状態が変わりそうなら、区分変更の申請を相談します。

暫定ケアプラン:認定を待たずにサービスを始める

認定されると、有効期間の開始日は申請日にさかのぼります。そのため、申請をすれば、結果が出る前でも、申請日から介護保険のサービスを使えます。結果が出る前に使うときは、ケアマネジャー(要支援の見込みの方は地域包括支援センター)に相談して、暫定ケアプランをつくってもらいます(出典3)。

暫定ケアプランの注意点

  • 認定の結果が「非該当(自立)」だった場合、それまでに使ったサービスの費用は全額自己負担になります(出典3)。
  • 見込みより軽い介護度になると、使える上限額(区分支給限度基準額)が小さくなります。上限を超えた分は、全額自己負担です(出典9)。どの介護度を見込んで組むか、ケアマネジャーと相談してください。
  • 退院直後は困りごとが出やすいため、最初に必要な量のサービスを優先し、結果が出てから整えます。

ケアマネジャーを決める。退院前カンファレンスで確認すること

在宅の生活をまとめる役は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーです(出典1)。すでに担当のケアマネジャーがいる方は、入院が決まったらすぐに連絡してください。ケアマネジャーが入院した日のうちに(翌日・翌々日でも)病院へ必要な情報を提供すると、報酬の区分が分かれる仕組みがあり、早い連絡ほど病院との連携が進めやすくなります(出典10)。担当がいない方は、市区町村の窓口、地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカーに相談して、居宅介護支援事業所を紹介してもらいます。

退院前カンファレンスとは

退院前カンファレンスは、病院の医師・看護師・リハビリ職・医療ソーシャルワーカーと、在宅側のケアマネジャー・訪問看護・訪問介護・福祉用具の担当者などが集まり、退院後の生活を見越して情報を共有する会議です。進め方は病院ごとに違います。日程は病院が決め、在宅側の事業所へはケアマネジャーが声をかけることが多く、ケアマネジャーが参加したかどうかは、報酬の区分にも反映されています(出典10)。本人や家族も参加できるので、気になる点は、その場で直接伝えてください。

家族が確認する7つの点

  1. 退院後も続く医療的な処置(たんの吸引、経管栄養、床ずれの手当、点滴・注射、酸素など)を、誰が、どこでするか。
  2. 食事の形(きざみ、とろみなど)と、飲み込みの注意点。
  3. 薬の管理の方法と、通院・訪問診療の予定。
  4. 立つ・歩く・移る動作の自立度と、転倒の注意点。
  5. 排せつの方法(トイレ、ポータブルトイレ、おむつなど)。
  6. 具合が悪くなったときの連絡先と、受診先。
  7. 退院後に必要な介助の量の見通しと、再入院になりやすい状況。

福祉用具と住宅改修は、退院前に動く

福祉用具の貸与は、基本的に、ケアプランを事前につくったうえで使います(出典8)。退院の日に間に合うよう、認定の申請とケアマネジャーの選定を早めに進めます。福祉用具の購入(指定の販売店から購入)と住宅改修は、ケアプランに位置づけられていなくても使えます。ただし、事前の申請が必要で、住宅改修にはケアマネジャーなどがつくる理由書も必要です(出典8)。

入院中や施設入所中でも、退院後に自宅で暮らすためにあらかじめ住宅を改修する必要がある方は、対象になることがあります。退院できなくなった場合や、認定が非該当になった場合は、給付の対象になりません(出典7)。工事を始める前に、市区町村の窓口かケアマネジャーに相談してください。

退院後3か月の組み立て方

退院後は、体力も生活のリズムも安定しにくい時期です。最初に手厚く支え、落ち着いてきたら量と種類を見直す、という順で組むと、無理が出にくくなります。

時期ねらいよく使われるサービス見直すこと
退院の前後生活の土台を整える福祉用具の貸与、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ医療的な処置、転倒、食事・服薬でのつまずき。退院直後に困りごとが出やすい
1か月目手厚く支える訪問系のサービスを中心に認定の結果の確認。暫定ケアプランから、結果にあわせたケアプランへ
2〜3か月目生活のリズムを整えるデイサービス、デイケア、ショートステイを加える訪問の回数の見直し。家族の休息(レスパイト)にもショートステイを使う
3か月前後状態の変化を見る―状態が変わっていれば区分変更を相談。認定の有効期間の終わりを確認(出典2)

訪問看護は、介護保険と医療保険のどちらで使うかが状態によって決まります。違いは、訪問看護の費用と、医療保険・介護保険の違いで説明しています。

1か月に使える上限(区分支給限度基準額)

介護保険のサービスは、要介護度ごとに、1か月に使える上限が決まっています(出典9)。上限を超えた分は、全額自己負担です。自己負担の割合は、所得に応じて1割から3割です(出典1)。1単位の金額は地域によって違うため、単位数で示します。

要介護度1か月の上限(単位)
要支援15,032
要支援210,531
要介護116,765
要介護219,705
要介護327,048
要介護430,938
要介護536,217

訪問マッサージは、介護保険の上限とは別の、健康保険(療養費)の制度で受けるものです。医師の同意書が必要で、対象になる方や費用のしくみは、訪問マッサージを健康保険(療養費)で受けるにはで説明しています。

3つの問いで、いまの動き方を決める

問い「はい」の場合「いいえ」の場合
1. すでに要介護(要支援)の認定を持っていますか担当のケアマネジャーに入院を連絡する。退院後に状態が変わりそうなら、区分変更を相談する(出典2)要介護認定を申請する。状態が安定してから、入院中に進める(出典4)
2. 認定結果の通知(原則30日以内)より前に退院しますかケアマネジャーと暫定ケアプランをつくる。非該当の場合の自己負担に注意する(出典3、出典5)結果を待って、認定にあわせたケアプランをつくる
3. 自宅で必要な介護と医療を、家族と在宅サービスで支えられますか在宅で組み立てる。上の「退院後3か月の組み立て方」を目安にする施設も並行して検討する。有料老人ホーム、グループホーム、特別養護老人ホームなど(下の記事を参照)

自宅で支えきれない見込みのときは、施設を並行して調べておくと、退院までの時間に余裕ができます。在宅介護の限界の判断、介護付と住宅型の有料老人ホームの違い、認知症の施設の選び方が参考になります。

静岡県・沖縄県で相談先を探す(事業所数は公表データから)

ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所と、訪問介護事業所の数は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の公表データをもとに、ゆりの花GUIDE が集計しています。下の表は最新の集計で自動的に更新されます(出典11)。

居宅介護支援(ケアマネジャーの事業所)

居宅介護支援(ケアマネジャー)の事業所数(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)
地域事業所数基準
全国36,4912025年12月
静岡県1,0492025年12月
沖縄県5042025年12月
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)を集計。

訪問介護

訪問介護の事業所数(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)
地域事業所数基準
全国35,1912025年12月
静岡県7002025年12月
沖縄県4002025年12月
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)を集計。

都道府県別の件数は、データページ(居宅介護支援の事業所数、訪問介護の事業所数)で確認できます。市区町村から探すときは、ゆりの花GUIDE の居宅介護支援のページ、訪問介護のページで、都道府県と市区町村を選んでください。地域包括支援センターは、市区町村ごとに設置されています。場所と連絡先は、住んでいる市区町村の窓口で確認できます。

まとめ(判断の要点3つ)

  1. 入院中は介護保険が使えない。退院後に使うなら、状態が安定したら入院中に要介護認定を申請し、ケアマネジャーを決める。結果は原則30日以内に通知される(出典4、出典5)。
  2. 結果が出る前に退院するなら、暫定ケアプランで申請日からサービスを使える。ただし、非該当なら全額自己負担で、見込みより軽い介護度だと上限額が小さくなる(出典2、出典3、出典9)。
  3. 退院前カンファレンスでは、医療的な処置・食事・転倒・緊急時の連絡先を確認する。福祉用具と住宅改修は、事前に窓口かケアマネジャーに相談する(出典7、出典8)。

次に読む記事:在宅介護の限界が見えた時、どう判断すればいいか、訪問看護の費用と、医療保険・介護保険の違い、介護付と住宅型の有料老人ホームの違い。

この記事は、制度の改定があれば更新します。次回の確認予定は 2027年4月です。

よくある質問

入院中に介護保険の手続きをするには、いつしたらいいですか。

退院後に介護サービスを使う予定があるなら、入院中に申請しておきます。時期の目安は、退院の見通しが立ち、状態が安定したころです(出典4)。結果は原則として申請から30日以内に通知されるため(出典5)、退院日に間に合わせるには、退院の見通しが立った時点で動き始めると余裕があります。

入院中は介護保険を使えますか。

使えません。入院している間は医療保険が適用され、介護保険のサービスは利用できません(出典4)。そのため、介護サービスは退院の日から使い始める形になり、入院中のうちに要介護認定の申請、ケアマネジャーの選定、福祉用具や住宅改修の準備を進めます。

入院中に介護保険の申請は誰がしますか。

申請書を市区町村の窓口に出します。入院中は動きにくいため、家族が手続きを進めることが多く、病院の医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談すると、手続きの進め方を案内してもらえます(出典1)。代行の可否や必要な書類は市区町村で異なるため、先に窓口へ確認してください。

入院中に福祉用具をレンタルできますか。

入院中は介護保険のサービスを使えないため(出典4)、貸与は退院後になります。福祉用具の貸与は基本的にケアプランをつくったうえで使います(出典8)。退院の日に使えるよう、ケアマネジャーに早めに相談し、退院前カンファレンスで必要な用具を確認してください。購入と住宅改修は、事前の申請が必要です(出典8)。

認定が出る前に介護サービスを使えますか。

使えます。認定されると、有効期間の開始日は申請日にさかのぼるため(出典2)、申請をすれば申請日からサービスを使えます。ケアマネジャーに相談して暫定ケアプランをつくってもらいます。結果が「非該当(自立)」だったときは、使ったサービスの費用が全額自己負担になるため、注意してください(出典3)。

この記事の監修・編集
ゆりの花GUIDE 編集部

ゆりの花グループ(静岡・沖縄)の介護・訪問マッサージの現場の知見をもとに、公的資料を確認して編集しています。

公開 2026年5月29日/更新 2026年10月16日

出典・参考

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キーワード: #入院中 介護保険 申請#退院前カンファレンス#退院後 介護サービス 手順

本記事は公開時点の制度・公的資料にもとづいています。制度は改定されることがあるため、最新の内容は各自治体・厚生労働省の案内でご確認ください。個別の状況については、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。