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認知症の施設の選び方。グループホームと特養の違い、入る時期

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認知症の方が入れる施設を7種類で比較。本人の状態で絞る3つの問い、入る時期の目安、介護サービス費の自己負担の計算例、見学で確認する点、入居を嫌がるときの考え方を、厚生労働省の資料にもとづいて解説します。

認知症の方が入れる施設とは、介護保険法にもとづく介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院)と居住系サービス(グループホーム、介護付有料老人ホーム)、および介護サービスを外部と契約して使う住まい(住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)の総称です(出典1〜4、出典7)。このうち、認知症の方だけを対象にした少人数の住まいがグループホーム(認知症対応型共同生活介護)です(出典1)。

認知症の高齢者は、2022年に約443万人、2040年には約584万人になると推計されています(出典5。九州大学の研究班による厚生労働省の補助事業の報告、2024年)。施設を選ぶ家族が増える一方で、「グループホームと特養のどちらがよいか」「いつ入れるべきか」「費用はいくらか」「本人が嫌がったらどうするか」は、制度を知らないと決めにくい問いです。

この記事では、認知症の方が入れる施設の種類を比べ、本人の状態に合わせて絞り込む3つの問い、入る時期の目安、介護サービス費の自己負担の計算例、見学で確認する点、入居を嫌がるときの考え方を、厚生労働省の公表資料にもとづいて整理します。入居条件や費用の詳しい中身は、グループホームの記事(グループホームの入居条件と費用)にまとめています。

認知症の方が入れる施設は主に7種類

施設の名前は多いですが、まず「介護保険の施設・居住系サービス」と「住まい(外部サービスを使う)」の2系統に分けると整理できます。次の表は、対象と認知症への向き合い方の違いをまとめたものです(出典1〜4、出典7)。

種類対象特徴
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)認知症の診断があり、要支援2以上の方。原則として同じ市区町村の住民5〜9人の少人数の共同生活。認知症に特化した小規模なケア(出典1)
特別養護老人ホーム(特養)常に介護が必要な方。要支援1・2は利用できず、新たに入所する要介護1・2の方は、やむを得ない理由がある場合を除いて利用できない(実質、原則として要介護3以上)入浴・食事などの支援、機能訓練、療養上の世話。終身の暮らしの場として使われることが多い(出典2)
介護老人保健施設(老健)在宅復帰を目指している方。要支援1・2は利用できないリハビリと必要な医療、介護。在宅復帰が目的で、長く暮らす場とは位置づけが異なる(出典3)
介護医療院日常的な医学管理や看取りが必要な要介護の方日常的な医学管理と看取り・ターミナルの機能に、生活施設の機能を合わせた施設(出典7。平成29年(2017年)の制度改正で創設)
介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)要支援1・2、要介護1〜5の認定を受けた方施設の職員が食事・入浴などの日常生活の支援と機能訓練を提供(出典4)
住宅型有料老人ホーム施設ごとに条件が異なる介護サービスは、訪問介護やデイサービスなど外部の事業所と個別に契約して使う
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)施設ごとに条件が異なる安否確認と生活相談がつく賃貸の住まい。介護は外部のサービスを契約して使う(出典7は、サ高住を地域の「住まい」の例として挙げています)

入居の条件に「認知症の診断」が入っている施設は、グループホームだけです。ほかの施設は、要介護度、医療的な処置の有無、在宅に戻る予定があるかで決まります。「認知症だから入れない」施設は制度上ありませんが、他の入居者や職員の安全を保てない状態では、事業所が受け入れを見送ることがあります。

グループホームと特養の違い。認知症ならどちらを選ぶか

相談で最も多い比較が、グループホームと特養です。違いは「規模」「入れる条件」「暮らしの場としての役割」の3点に整理できます(出典1、出典2)。

比べる点グループホーム特別養護老人ホーム
対象認知症の診断があり、要支援2以上要介護3以上が実質の対象(要介護1・2は特例)
規模1つの共同生活住居あたり5〜9人大規模な施設が多い(小規模な地域密着型特養は定員30人未満)
住所の条件原則として同じ市区町村の住民(地域密着型サービス)広域型の特養は、一般に他の市区町村の方も申し込める(運用は施設・自治体で異なる)
暮らし方少人数で、食事の準備や掃除など家事を職員と一緒に行う家庭的な生活常に介護が必要な方の生活の場。入浴・食事の支援、機能訓練、療養上の世話
費用の構成介護サービス費の自己負担+家賃・食費・光熱水費(事業所ごと)介護サービス費の自己負担+居住費・食費(所得に応じた軽減制度がある。出典7)

選び方の目安は次のとおりです。

  • 要支援2〜要介護2の方:グループホームが第一候補になります。特養は、要介護1・2では原則として申し込めません。
  • 要介護3以上で、常時の介護や医療的な見守りが要る方:特養を申し込み、待っている間にグループホームや介護付有料老人ホームを探す、という二本立てが現実的です。
  • 入院後で、在宅に戻る見込みがある方:老健でリハビリを受けながら、帰る先を決める方法があります(出典3)。

どちらが優れているかではなく、本人の状態と、その後の暮らし方に合うかで決めます。申し込みは1か所に絞らず、複数に出しておくのが一般的です。

3つの問いで絞り込む(判断表)

種類が多くて迷うときは、次の3問に順に答えると、候補を2〜3種類まで絞れます。

問い「はい」のとき「いいえ」のとき
1. 要介護3以上ですか(要介護認定を受けていますか)特養が申し込めます。グループホームも選択肢。質問2へ要支援2〜要介護2:グループホーム、介護付有料老人ホームなどが中心。認定がまだなら、先に市区町村へ申請
2. たん吸引・経管栄養など、常時の医療処置がありますか看護職員のいる特養、介護医療院、介護付有料老人ホームを優先。グループホームは医療連携のある事業所に限って相談質問3へ
3. 本人は同じ市区町村に住民票がありますか(または移せますか)グループホームを検討できます広域型の特養、介護付有料老人ホームなど、住所の制限がない施設を中心に探す

認知症の進み方は人によって違うため、「軽度ならこの施設、重度ならこの施設」と一律には決まりません。目安として、物忘れはあっても身の回りのことがおおむね自分でできる時期は、少人数で家事を分担するグループホームが合いやすく、日常生活のほとんどに介助が要る時期は、24時間の介護体制がある施設が安心です。主治医やケアマネジャーに、今の状態と今後の見通しを聞いたうえで、候補を決めてください。

施設に入る時期の目安

「いつ入れるべきか」には、決まった答えはありません。家族が判断の材料にしやすいのは、次のようなサインです。

  1. 家族の介護の負担が限界に近い:睡眠が取れない日が続く、仕事や自分の通院を続けられない、といった状態です。
  2. 本人の安全を家で守れない:外に出て戻れない、火の消し忘れが続く、夜間に目が離せない、など。
  3. 医療や介護の必要が増えた:入院をきっかけに、退院後は在宅では難しいと言われた場合など。
  4. 介護する家族の健康が崩れた:介護する側が倒れると、本人の生活も同時に止まります。

要介護認定の申請から結果が出るまでには時間がかかり、施設の空きを待つ期間もあります。「限界になってから探す」のではなく、「まだ余裕がある時期に見学だけ済ませておく」ほうが、選べる幅は広がります。在宅での限界の見極め方は、在宅介護の限界が見えた時、どう判断すればいいかで詳しく書いています。

費用:介護サービス費の自己負担と、別にかかるお金

認知症の施設の費用は、「介護サービス費の自己負担」と「家賃・居住費・食費などの保険外の費用」に分かれます。前者は制度で決まっており、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」に1日あたりの目安が載っています(出典1〜4。いずれも1割負担の場合)。次の表は、要介護3の1日の目安を30日で単純に計算した月額です(加算や地域差は含みません。2026年10月閲覧の表示値)。

施設の種類要介護3の1日の自己負担(1割)30日の目安
グループホーム(共同生活住居が1つの場合)824円約24,720円(出典1)
特養(従来型個室・多床室)732円約21,960円(出典2)
特養(ユニット型個室)815円約24,450円(出典2)
介護付有料老人ホーム(特定施設)679円約20,370円(出典4)
老健(施設サービス費Ⅰ)要介護1〜5で717〜932円(基本型(i))約21,510〜27,960円(出典3)

注意してほしいのは、この表が介護サービス費だけの金額だという点です。食材料費、理美容代、おむつ代などの日常生活費は別にかかります(出典1、出典3)。特養や老健では居住費と食費、グループホームでは家賃・食費・光熱水費が加わり、金額は施設ごとに違います。実際に払う総額は、重要事項説明書で確認してください。

お金の不安に使える制度が2つあります。

  • 居住費・食費の軽減(補足給付):厚生労働省の資料では、介護保険3施設(特養・老健・介護医療院)とショートステイで、居住費と食費が軽減される仕組みとして示されています(出典7)。対象になるかは、所得や預貯金などで決まります。
  • 高額介護サービス費:1か月の介護サービスの自己負担が一定額を超えたときに、超えた分が払い戻される仕組みです(出典7)。上限額は所得区分で決まります。

「お金がなくて施設に入れられない」という相談は多くあります。まずは市区町村の介護保険担当課か、地域包括支援センターに、収入・預貯金の状況を伝えて相談してください。軽減制度の対象かどうかは、窓口でしか判断できません。

見学で確認する7つの点

パンフレットだけでは、認知症の方への向き合い方は分かりません。見学のときは、次の7点を確認します。

  1. 認知症の行動・心理症状への対応方針:大声、徘徊、拒否などが出たときに、職員がどう関わるか。薬に頼る前に、環境や関わり方を見直す姿勢があるか。
  2. 看護職員の有無と協力医療機関:夜間・休日の連絡体制、定期の訪問診療があるか。
  3. 看取りの方針:重度になったときに、住み続けられるのか、退去になるのか。
  4. 退去になる条件:「追い出される」不安を防ぐため、契約書の退去条項(医療処置が増えた場合、他の入居者との共同生活が難しくなった場合など)を事前に読む。
  5. 夜間の職員体制:夜勤の人数と、緊急時の対応。
  6. 保険外費用の内訳:家賃、食費、光熱水費、日用品、行事費など、月額と、値上げのルール。
  7. 本人の雰囲気:居室や共有スペースで、入居者がどう過ごしているか。職員が目線を合わせて話しているか。

可能なら、本人と一緒に見学し、食事の時間帯にも訪ねてください。本人が「ここなら」と感じられる場所かどうかは、数字では分からない大切な判断材料です。

入居を嫌がるとき、家族が孤立しないために

「施設に入りたがらない」「入れたら怒るのではないか」という悩みは、とても多いものです。無理に連れて行くのではなく、次の順で進めると、本人にも家族にも負担が小さくなります。

  • 理由を聞く:「知らない場所が不安」「家を離れたくない」「迷惑をかけたくない」など、嫌がる理由はさまざまです。否定せず、まず聞きます。
  • 見学・体験から始める:いきなり入居ではなく、デイサービスやショートステイで場に慣れてから決める方法があります。
  • 第三者に入ってもらう:家族が言うと反発しても、かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターの職員からの説明なら受け入れる方も少なくありません。
  • 本人の意向を残す:どこで、どう暮らしたいか。決められる範囲は本人に決めてもらいます。

2023年に成立し、2024年1月1日に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(令和5年法律第65号)は、認知症の人が尊厳を保ちながら希望を持って暮らせることを目的に掲げ、本人が自分に関わる事柄について意見を表明する機会の確保や、本人の意向を尊重したサービスの提供を基本理念に置いています(出典6)。国はこの法律にもとづき、2024年12月3日に「認知症施策推進基本計画」を閣議決定しました(出典9)。家族だけで抱えず、市区町村の窓口、地域包括支援センター、認知症の本人・家族の集まり(認知症カフェなど)につながることも、選択肢のひとつです。

静岡県・沖縄県で探す(事業所数は公表データから)

施設の数は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の公表データをもとに、ゆりの花GUIDE が集計しています。下の表は最新の集計で自動的に更新されます(出典8)。

グループホーム

グループホームの事業所数(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)
地域事業所数基準
全国14,3102025年12月
静岡県4212025年12月
沖縄県1162025年12月
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)を集計。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームの事業所数(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)
地域事業所数基準
全国8,5412025年12月
静岡県2492025年12月
沖縄県622025年12月
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ(CC BY 4.0)を集計。

都道府県別の件数は、データページ(グループホームの事業所数)で確認できます。市区町村から探すときは、ゆりの花GUIDE のグループホームのページ、特別養護老人ホームのページで、都道府県と市区町村を選んでください。

まとめ(判断の要点3つ)

  1. 認知症の診断だけで入る施設が決まるのはグループホームだけ。要介護1・2ならグループホーム、要介護3以上で常時の介護が必要なら特養が中心で、申し込みは複数に出す。
  2. 費用は「介護サービス費」と「保険外の家賃・居住費・食費」に分かれる。要介護3の介護サービス費の自己負担は、1割・30日で約2万円台(出典1〜4)。総額は重要事項説明書で確認し、お金の不安は市区町村か地域包括支援センターに先に相談する。
  3. 本人が嫌がるときは、理由を聞き、見学や体験から始める。家族だけで抱えず、第三者に入ってもらう。

次に読む記事:グループホームの入居条件と費用。要支援2から入れるか、特養との違い、在宅介護の限界が見えた時、どう判断すればいいか。

この記事は、制度の改定があれば更新します。次回の確認予定は 2027年4月です。

よくある質問

認知症の施設は月いくらくらいですか。

介護サービス費の自己負担は、要介護3・1割負担・30日で計算すると、グループホームが約24,720円、特養が約21,960円(従来型個室・多床室)〜24,450円(ユニット型個室)、介護付有料老人ホームが約20,370円です(出典1〜4。厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の1日あたりの表示値を30日で換算、加算・地域差を除く)。これに、家賃や居住費、食費、日常生活費が別にかかります。保険外の費用は施設ごとに違うため、重要事項説明書で総額を確認してください。

認知症でも入れる施設はどこですか。

認知症の診断があって要支援2以上ならグループホーム、要介護3以上なら特別養護老人ホーム、在宅復帰を目指すなら介護老人保健施設、医療的な管理が必要なら介護医療院、介護付有料老人ホームは要支援・要介護の認定を受けていれば対象です(出典1〜4、出典7)。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、施設ごとに条件が異なります。

認知症の介護は特養とグループホームのどちらがよいですか。

要支援2〜要介護2の方はグループホーム、要介護3以上で常時の介護や医療的な見守りが必要な方は特養が中心になります(出典1、出典2)。特養は新たに入所する要介護1・2の方は、やむを得ない理由がある場合を除いて利用できません。特養は待機があるため、申し込みと並行してグループホームなどを探すのが一般的です。

認知症の施設に入れたいけれど、お金がない場合はどうしたらよいですか。

特養・老健・介護医療院とショートステイでは、居住費と食費を軽減する補足給付があり、1か月の自己負担が一定額を超えた分は高額介護サービス費として払い戻されます(出典7)。対象になるかは所得や預貯金で決まるため、市区町村の介護保険担当課か地域包括支援センターに、収入と預貯金の状況を伝えて相談してください。

認知症の親が施設に入りたがらないときはどうしますか。

無理に連れて行かず、嫌がる理由を聞くことから始めます。デイサービスやショートステイで場に慣れてから決める方法や、かかりつけ医・ケアマネジャー・地域包括支援センターの職員から説明してもらう方法があります。認知症基本法は、本人が自分に関わる事柄について意見を表明する機会の確保を基本理念に置いています(出典6)。

この記事の監修・編集
ゆりの花GUIDE 編集部

ゆりの花グループ(静岡・沖縄)の介護・訪問マッサージの現場の知見をもとに、公的資料を確認して編集しています。

公開 2026年5月29日/更新 2026年10月15日

出典・参考

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本記事は公開時点の制度・公的資料にもとづいています。制度は改定されることがあるため、最新の内容は各自治体・厚生労働省の案内でご確認ください。個別の状況については、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。